納得できるお仏壇選びを
いいお仏壇を購入する秘訣はずばり ①販売する仏壇店の選択眼を養うこと ②菩提寺様とご相談をすること ではないかと思います。
多くのお客様から「規模が大きいからといっても安心できない」「価格が不明瞭」などのお声を頂戴します。
一生に一度の買い物になりかねないお仏壇。少しでも「安心して」「納得して」選んでいただけるよう、アドバイスいたします。お役に立てれば幸いです。
1.お仏壇とは何か?
お仏壇は、文字通り「仏さまをご安置する壇」のことです。今日のお仏壇は宗教的な祭壇というよりも、 亡き家族の象徴 としての意味合いが強いのではないでしょうか。あるいはご先祖への敬意と感謝を象徴するものとも言えるでしょう。
お仏壇は、本来、死者のためでなく、生きている私達のためにあります。ご先祖が還られたお浄土を偲び、お仏壇(ご本尊)に手を合わせることは、ご先祖への感謝の気持ちを次世代に教える ことにもつながります。また人間の死を考えるきっかけでもあります。 こういう意味では、心豊かな家庭生活を送るために必要不可欠なものであるといえます。「田舎(実家)にあるから・・」とか「長男だけでよい」とかおっしゃらず、独立した家庭であれば、必ずお仏壇を安置するようにしてください。
2.お仏壇の主人はご本尊
お仏壇でもっとも大切なのはご本尊です。ご本尊とは、信仰上もっとも尊ぶべき礼拝の対象です。お仏壇には、正面に柱で区切られた3つの壇が設けられています。その中央にご安置するのが、ご本尊です。左右の壇には「脇侍(脇懸・脇仏)」をご安置します。
本尊や脇侍(脇懸・脇仏)は、菩提寺(その家が属する寺)の宗派によって異なります。
宗派 | 右脇侍 (向かって左) | 本尊 | 左脇侍 (向かって右) |
---|---|---|---|
浄土真宗(本願寺派) | 蓮如上人 | 阿弥陀如来 | 親鸞聖人 |
浄土真宗(大谷派) | 九字名号 | 阿弥陀如来 | 十字名号 |
浄土宗 | 法然上人 | 阿弥陀如来 | 善導大師 |
真言宗 | 不動明王 | 大日如来 | 弘法大師(空海) |
天台宗 | 伝教大師(最澄) | 釈迦牟尼如来 | 智者大師 |
曹洞宗 | 常済大師(瑩山) | 釈迦牟尼如来 | 承陽大師(道元) |
臨済宗 | 普賢菩薩(観世音菩薩) | 釈迦牟尼如来 | 文殊菩薩(達磨大師) |
日蓮宗 | 大黒天 | 大曼荼羅 | 鬼子母神 |
お仏壇を購入の際は、お店で宗派名や菩提寺をはっきり告げてください。浄土真宗(本願寺派)のように、ご本尊は菩提寺を通して本山から受ける宗派もありますので、菩提寺様や仏壇販売店とよくご相談をしていただくと安心です。
3.お仏壇はいつ買う?
購入の時期にこれといった決まりはありません。
「何もないのにお仏壇を買うと死人が出るのでは」と気にする方がいるようですが、人生は無常で、老いも若きもいつ死が訪れるかわからないのです。仏壇の購入が原因で死ぬ訳ではありません。
ですのでいつでも良いのですが、思い立った時、心に余裕がある時に購入されるのが良いでしょう。例えば ①子供が生まれたとき ②家を新築改築したとき ③子供が成人したとき など、人生の節目に購入される方が多いようです。
大切なご家族が亡くなった時に仏壇を購入されることもあります。その場合も特に決まりはありませんが、法要(49日、100ヶ日、一周忌)にあわせて購入されると、開眼(入仏)法要も同時に行うことができます。中でも49日までにご購入するケースが一番多いようです。
購入する日の吉凶も、あまり気にする必要はありません。
4.お仏壇はどこに置くの?
「北向きは避けたほうがよい」といわれるのは、風通しや日当たりの具合からで、他に理由はありません。
お仏壇の場所を考える場合、お釈迦様の言葉にもあるように「東西南北いずくんぞ心にかやすからん(東西南北どの向きでも(仏法を)大事にすれば心は安らかである)」なのです。
伝統的な仏壇の場所・向きにこだわらず、「家族揃って心静かにお参りできる場所」に安置したほうが良いでしょう。例えば居間など、 ご家族が集まる場所がいいのです。ただし、湿気がとくに高いところ、火気の近くなど仏壇が傷んでしまう場所は避けてください。「 うちは狭いから無理」とあきらめる必要はありません。小さめで、棚やタンスの上に置くタイプのものもあります。その場合は眼より少し上にご本尊が拝めるよう、置く高さに工夫をしてください。
設置場所を決めたら、お店に行く(購入する)前に採寸しておきます。①幅、②奥行き、③高さ をメモしてお店に行きましょう。また部屋の状況をデジカメで撮影しておくと、部屋の雰囲気に合った的確な仏壇選びができます。
5.お仏壇のスタイルは?
安置場所と寸法が決まったらあとは自由と言ってもかまわないと思います。
お仏壇は一般的に高価で、おいそれと買い替えが出来る品物ではありません。納得がいかない仏壇では気持ちよくお参りする事も出来ません。
宗派による仏壇の違いは基本的にありませんが、土地により多少の違いがあるようです。念のため、お店に行く前にご先祖様の宗旨宗派を確かめておきましょう。浄土真宗の方は通常、金仏壇をお求めになります。
お仏壇はおおまかに次のような種類(スタイル)があります。
種類 | 推奨ポイント | ご注意 |
---|---|---|
唐木仏壇 |
|
|
金仏壇 |
|
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モダン(家具調) 仏壇 |
|
|
6.お仏壇の予算は?
お仏壇で気になる点は、やはりお値段。素材・サイズ・デザインによって、安価なものは数万円から、高価なものは数千万円のものもあります。
ただ、高価であるほど「いい仏壇」ではありません。仏壇はご家族が感謝を込めて手を合わせることが大切ですから、家に合う仏壇・ご家族が気に入った仏壇が一番「いい仏壇」といえます。
そのためには ①ご自宅におけるサイズ ②好みのデザイン の2条件を満たしたものの中から、宗派を考慮して納得のいくお値段のものをお選びいただくのがベストです。
お仏壇は確かに高い買い物です。しかしその価値は金額で決まるものではないのです。良いものであれば、何世代にもわたって家族に引き継がれていきます。高い買い物になるか、安い買い物になるかは、ご家族とお仏壇の関わり方次第です。
7.お仏壇と仏具
お仏壇には本尊・脇侍を安置し、仏具によって荘厳(しょうごん:仏像や仏壇を美しく飾ること)することで初めて仏壇としての機能を果たすことになります。ですので仏壇が決まったら、それに併せて仏具を選択します。
お仏壇の荘厳方法(飾り方)(例:浄土真宗本願寺派)
仏具は①ご本尊・②脇侍(脇懸・脇仏)のほか位牌や三具足(⑨燭台・⑦香炉・⑧花立)などを用意します。法事などの正式な儀式を行うときは三具足を基本に、しまっていた⑨燭台⑧花立を一対にし五具足とします。
この他、茶湯器(ちゃとうき)は、真宗では用いない。あえて水を供える必要はなく仏飯だけでよいとされています。
- 1.ご本尊
- お仏壇の中心。脇侍がある場合は「中尊」とも言う。
- 2.脇侍(脇掛・脇仏)
- 中尊(本尊)の左右に置かれ、本尊の補佐となる仏。
- 3.火舎香炉・華鋲
- 中段の上側に置かれる香炉と、シキミや香木用の花瓶。
- 4.仏飯器
- お供え用のご飯を入れる器。
- 5.上卓
- 上記3・4を置く場所。打敷を敷く。
- 6.香炉
- 火のついたお線香を立てる容器。(本願寺派は立てずに寝かせて焚く)
- 7.燭台
- 2つ又は1つ。火立。ローソクを挿す。
- 8.花立
- 2つ又は1つ。生花を生ける花瓶。
- 9.前卓
- 上記6・7・8をおく卓台。
- 10.打敷
- 法事の時のみ前卓に敷く。
- 11.供笥(くげ)
- 一対。供物(お菓子・果物・お餅)を置く高杯。
- 12.和讃箱
- 親鸞聖人による本「三帖和讃」「正心偈」を納めておく箱。
- 13.和讃卓
- 和讃箱を安置する台
- 14.過去帖
- 故人の戒名・俗名・命日を記録した帳簿。
- 15.見台
- 過去帖を乗せる台
- 16.りんセット
- りん・りん布団・りん台・りん棒。
- 17.御文章箱
- 蓮如上人の著わした御文(おふみ{西:御文章})を納める箱
- 18.六角吊灯籠
- 一対。仏壇天井から吊り下げる灯籠。
- 19.輪灯瓔珞(ようらく)
- 一対。ご本尊前を飾る道具。インドの装身具に由来。
- 20.輪灯
- 一対。仏壇の中を照らす照明。
- 21.お経本
- 経文。
- 22.経卓
- 経文(経典・聖教)をのせる机。
- 23.座布団
- 導師用座布団。
お仏壇の飾り(荘厳)方については、地域や宗派によって違いがあります。本多仏壇店へお問い合わせまたはご来店いただければ、随時ご回答いたします。お気軽にご質問ください。
8.お仏壇を購入したら?
新しくお仏壇を購入したら、菩提寺のご住職に来ていただき魂入れ(開眼供養・入仏式)の読経をお願いするのが習わしです。これにより、単なる物体に過ぎなかった仏像や掛軸や位牌が、尊い仏様になるわけです。
ご住職に来ていただくのが困難な場合は、新しいご本尊や位牌を菩提寺に持参して魂入れをしていただき、持ち帰ってお仏壇に安置します。
(浄土真宗本願寺派のように、ご本尊や脇侍(脇懸・脇仏)は本山から購入した場合不要とすることもあります。菩提寺様にお尋ねください)
9.究極のお仏壇選びは?
究極の「いいお仏壇」の選び方は、「いい仏壇販売店」の「いい販売員」とご縁をもつことだと思います。葬儀後の心ない電話セールスや、故人への思いを盾に取るような営業マンからは、お仏壇の購入をしてはなりません。
ネットショップでも仏壇が購入できますが、「〇割引」といった安さ勝負のお店も遠慮したいものです。親身になってお客様の心を汲み、予算面やご家庭の生活スタイル、宗派などから総合的にアドバイスできるお店・販売員とご縁をお持ちください。
また、お仏壇は長い年月使用できる「長寿商品」ですので、洗濯(仏壇の分解洗浄)・修理 が可能な仏壇販売店をご推奨いたします。
同時に、長いお付き合いがある、またはお付き合いになるであろう菩提寺様とも、よくご相談されることが大切です。